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精神科看護ケアの注意点

精神科の看護ケアでは、社会生活を送るために必要な成長発達課題を獲得していない患者と接する機会が多く、セルフケアレベルが低い人への対応が必要になります。そのため、精神科における看護ケアでは患者の自己決定権能力を高めることが目的となります。

患者の自己決定権能力を高めるために看護師に求められることは、信頼が得られるような関係性を作ることや患者にとってのロールモデルとなること、教育的な関わり合いを持つことです。

たとえば、依存や退行を体験してセルフケアレベルが低下している患者に対して代理行為を行う場合、単にできないから代行するというだけではなく、代行することで患者自身に安心感を持たせることも目的に含まれています。

また、なんでもすべて代行するのではなく、患者が自分でできるところは自立させるという方法をとったり、看護師が一緒に行ってみせたり、時には突き放したりするなど、患者の個別性を査定しながらセルフケアレベルが向上するように看護展開していくことが大切です。

そして、看護師もまた患者と同様に一人の人間です。同じように良くも悪くもさまざまな感情を抱きます。患者との関係を構築する中で、その感情が少なからず影響を与えてしまうこともあります。仮に嫌悪感をもっていて、その感情を消化できないまま閉じ込めておくと、無意識のうちにそれがケアに反映され、積極的な看護展開ができなくなることもあるので注意が必要です。

逆に、患者や家族に共感し、自己同一化することで、自分の期待がケアに反映され客観的な看護展開ができなくなることもあります。患者の依存を助長することがないよう看護ケアに努めていくことが大事です。